水圧問題は、物件選びによって左右される

「今働いているお店ではシャンプーの水圧が出なくて困っている」という美容師さんは、結構多いですね。
美容室店舗の設計時に「自分の店では水圧で困らないようにしてほしい」という希望が時折よせられます。
 
じつは、この問題は設計レベルで施術に支障がない様にある程度のことは解決できても、「水圧そのものを根本的にアップさせる」ような改善策はある意味難しいことなのです。
水圧問題の多くは、建物の水道設備状況によるところが多いためです。
 
ちょっとイメージしてみてください。
3m四方の立方体ぐらいに巨大な樽といいますか、水のタンクがあったとしましょう。
この巨大な箱にはとても小さな穴、小さな蛇口、細いホースが付いている状況です。
ホースの出口から出てくる水は、チョロチョロと、頼りないものですよね?
要するにこれが水圧不足の基本的な原理です。
 
選んだ物件の建物外部から区画に供給されている水道設備、すなわち水道管が細すぎれば水圧は出ない。
あるいは、仮に屋上に巨大な受水槽を兼ね備えたビルであっても、やはり区画までの水を供給する管が細ければ水圧が出ない。
設計レベルで解決するといってもビルの付帯設備である水道管を勝手に太くするという提案は現実的ではないわけです。
これに関してはビル側も簡単に要求に応じないはずですし、仮に応じたとしても莫大な費用がかかってしまいます。
 
選んだ物件がこのような根本的な水圧問題を抱えていることに気づかず借りてしまい、開業後実体験するまで気づかかなったという事例は非常に多い。
 
そこで、設計レベルでの解消法として提案されるのがボイラー。
チョロチョロ程度の水圧でも、常に入水タンクに水を蓄えて常に沸かし続けてくれる。
仮にビルの外から区画内までの管が細くても、一旦ボイラーに水を貯めているだけに、そこからの水の供給は水圧が落ちないというわけですね。
だからこそ、こう言われることが多いのです。
水圧を絶対に下げないためにも、美容室店舗にはボイラーは必需品!
 
しかし、今までの話から考えてみると、、、
ビルの外部から区画内までの管がそれなりに太ければ水圧は落ちないということ。
 
となると、建物の水道状況がよければ、ボイラーではなく、業務用の瞬間湯沸かし器で十分ということもあるわけです。
ボイラーを導入するというのは開業する美容師さんにとって非常に大きな出費です。
湯沸かし器なら費用は半分以下で済み、その差は時として50万円以上の開きとなります。

業種によって必要な設備状況は異なるため、自分に必要な設備がそろっているかを確認し、出費がかさむ物件か否かを見極める必要があるのです。
物件選びの基準は、「なんだかよさそう」だけではなく「自分に必要な設備がそろっているか」も検討基準に加えましょう。

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