bh 飯島由敬・著書ご紹介–
周囲からのアドバイスは、要注意!
開業計画の最中には、周囲から有難いアドバイスを受けることが多々あるでしょう。
しかし、このアドバイス…全部が全部、自分のためになるのでしょうか?
何もわからない状況にあるわけですから、まずは身近の意見を参考にするのは当然といえるかもしれません。
身近ですでに開業を果たした先輩や後輩、同期などの意見は、参考になりそうですよね。
しかし、周囲の計画は、あくまでその人の事例。周囲の意見はあくまでも別次元の経験から得たノウハウなのです。
開業規模というのは店舗の面積もありますが、同時に雇用する従業員の人数も関与するものです。
「雇用予定の従業員が経験豊富なスタッフなのか」「新卒者のような経験に乏しいスタッフなのか」「自分一人きりで運営をしていく計画なのか」
それぞれ、規模もノウハウも大きく異なります。
知人の実経験が、自分と同程度の計画規模と思えても、実際に検証を深めれば基準は全て異なるはず。完全に同じであることはまずありえません。
仮に開業の専門家のアドバイスであっても、注意が必要です。
「一般的には月間売上の目標額の3割ぐらいなら家賃は許容範囲ですよ」
これは、どのくらいの規模の出店計画を基準にしているのでしょうか?
「一般的」というアドバイスを鵜呑みにして行動を起こしてしまうことは危険です。
専門家の意見は「小、中、大規模ひっくるめて、大枠の平均」で語られていることが少なくないのです。
例えば、美容室の場合、自分と未経験アシスタント2名で開業する計画で店舗面積は50㎡(15坪)程度の出店規模であれば、売上の3割の家賃は思いっきり高すぎます。
もし、自分以外の従業員を4~5名雇用し、30坪以上の大型店舗を構える計画であるなら、たしかに売上も大きくなり家賃も売上の3割でも良いだろうという判断になるでしょう。
2名体制15坪程度の規模であるなら、開業1~2年の間は月間の売上100万円に到達するまで非常に苦労を伴います。
前述の基準で考えてしまうと、仮に当初目標とした150万円から考えて家賃45万円でもOKであろう、ということになってしまいます。
仮に月間500万円の売上を狙うような大規模店舗でその目標額に到達したのなら30%の家賃150万円という数式も成り立つかもしれません。
しかし、小規模~中規模の開業計画の場合は、この3割基準は明らかに間違えています。
このように、「売上目安の何パーセントというザックリとした基準」あるいは「一般的な基準ですよ、とされる基準」は、あまりアテにしてはならないのです。
自分の計画はあくまでも「他人とは異なる唯一の計画」であるということを念頭に置き、知人はおろか専門家の「一般的な見解」であっても、周囲のアドバイスはあくまでも「一つの目安」でしかありません。
結局は、「自分自身の計画を自身で検証する」という姿勢が非常に重要です。