店舗工事費は、店舗ができたら支払うもの?

店舗工事では数百万円という多額のお金を払うことになりますが、この店舗工事費の支払はどのようなタイミングで払っていくことになるのでしょうか?「店舗が出来上がったら、支払うものでしょう?」と思うかもしれませんが、一般的にはそうではありません。

多くの場合、工事費用というのは全3回に分けて払うことになります。
1回目の支払:工事契約締結時に工事額の1/3
2回目の支払:中間検査後に工事額の1/3
3回目の支払:工事引渡し検査後に工事額の1/3
中には全ての工事が完了した段階で全額一括での支払でも良いという工事業者もいますが、中小規模の工事会社の場合は、大抵はこのように3回に分けての支払を要求してくることが多いのです。

普通は工事完了時に全額一括支払いが常識だろう。こう考えてしまいがちなのは、あくまでも開業者の勝手な思い込み。
一方、工事業者側は、工事というものは着手・中間・最終金というタイミングでお金をもらうのが常識。こう捉えているもの。
独立開業において店舗工事発注は、人生でそう何度も経験するものではありません。小規模な店舗開業なら一生に1度かもしれません。
そのため、工事業者の一般常識はなかなかわからないですよね。
実は、このような工事業者側の都合と自分の都合の間には、大きなトラブルの種が存在します。

「店舗が完成しないのに先にお金を納めるのは腑に落ちない」と考える人もいるでしょう。
工事業者側からみたら、「個人事業主である開業者さんが、果たしてちゃんとお金を払ってくれるのか?」が、常に不安なのです。
工事業者としては、この不安を抱えたまま工事を請負って、お金をもらうことなく先行で工事を進めるのは難しい。工事を請け負ってしまえば、工事業者側では工事材料の発注等で資金流出が始まるのです。そのため、前述のように3回に分けて支払をしていくことが店舗工事費の支払いとしては一般的なのです。
とはいえ、際どい資金事情で開業を目指す小規模な個人事業主となる開業者にとって、工事業者側の要求どおりの支払時期に合わせることが非常に困難な場合もあるもの。
例えば、融資などの資金借り入れの着金がまだ実行されておらず、工事着手時の段階では払えない。または、融資の都合により工事完了時でなければ全額着金されず、着手金はおろか中間金も払えない…等々、実際の事情は様々。
もし工事完了後でなければ融資期間が着金をしてくれないという開業者の事情があるのなら、工事契約前に工事会社に開業者が申請した融資機関に連絡をとってもらい、「確実に融資が成功していること」「工事が完了したら間違いなく開業者に着金されること」を請負側である工事業者がこの重要な部分を確認した上で工事契約に進めていくべきです。

独立開業の店舗工事に関しては、開業者の事情、工事業者側の都合を押し付け合うという考え方ではうまくいくものではありません。
工事を請負う会社が、このような様々な開業者の融資事情を事前に理解の上、支払の時期をも交渉に応じてくれるかどうか。
双方、事情を詳細に話し合い、事情に応じた上、支払のタイミングを取り決め契約を結ぶことが重要なポイントです。

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