bh 飯島由敬・著書ご紹介–
1階の物件を、おすすめする理由
開業の相談でよく「1階じゃなきゃダメですかね?2階とか地下なら家賃が格段に安くなるので…」と相談されることがあります。
確かに1階より2階のほうが、家賃が安くなるのは当然ですが、私は1階を絶対におすすめします。
何故、1階が有利だと言われるているのに、「1階以外の物件であっても良い物件」だと判断するのでしょう?
開業者さんは物件そのものの「立地環境、周辺からの見え方、人の流通」など店舗を出店する上での要素よりも、「自分の働きやすさ」すなわち「室内側の利便性」を重視してしまう習性があるのです。
「カット椅子が希望の数分入れられそうか?」「様々な作業がしやすそうか?」等々…。
こうした「自分側の使いやすさ」を、最も重要な基準としてしまう傾向が高いため、「1階以外の物件であっても良い物件」だと判断するのでしょう。
結果、「仮に4階の物件であっても室内が良さそう」「マンションの中の1部屋だけど室内は良かった」から借りてしまう方が出てきます。
しかし、よほどのカリスマであれば、2階であろうが、地下であろうが、お客は必ず探し出して来てくれるでしょうが、一般的な開業者では、なかなかそうは行かない。
1階店舗であれば「これから新しく出会うお客がお店の存在を見つけやすい」「内部がなんとなくでも覗けるような環境」のため、大きなアドバンテージとなります。
将来訪れる客は、最初は必ず店の場所を知らず、探しながら来店してきます。来店時に店の10メートル手前から「あ、あそこが店だな!」と認識できることは店側にとっても大きなメリットです。
「店の前を何度も行き来したけど、存在を確認できなかった」ということが起こりやすいのが2階や地下の物件が持つデメリット。
特に店の存在を見つけやすくするという部分では、「店の顔」すなわち「ファサードの面積を大きく出来ること」が1階店舗の最大のメリットです。
1階部分全体が看板の役割をはたすことになり、格段に大きく使えるのです。逆に、もし2階の物件なら、道路から見上げても窓しか見えなかったり、窓の大きさのみの面積では1階よりずっと顔が小さくなってしまいます。
さらに、地下階に至っては、この重要な店の顔はほとんど外部に見えないということに。もちろん、それをあえて狙った計画なら構いませんが、一般的な開業者では、なかなか難しいですよね。
自分の作業都合も、もちろん大事な判断基準ですが、来店する客の視点を優先させた基準で物件探しを行いましょう。
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